読み聞かせを通して感じたこと

手芸が趣味の三姉妹の母Imoanです。次女(小1)が小学生になった今年から小学校の読み聞かせグループに入りました。長女(小5)と次女が通う小学校では学年ごとに月に一度の授業として絵本の読み聞かせの時間があります。図書室の先生と絵本の勉強をされているボランティアのお母さん達が読み聞かせや素話、パネルシアターなどで子供達をお話の世界へと案内してくれます。

グループに入ったきっかけはお友達のママからのお誘いでしたが、長女が入学した時から実はとても興味があったので、待ってました!と言わんばかりにメンバーに加えてもらいました。私はまだ初心者で一年生を前に絵本を読むだけで精一杯ですが、何が楽しいって子供達の反応が見られるのがとても楽しいです。自分が読まない時間は子供達と一緒に司書の先生や先輩ママのお話を聞いて楽しめるのもこの活動を続ける魅力です。

読み聞かせと言えば、思い出されるのが長女が生まれる前の胎教です。長女は先天性の心疾患(両大血管右室起始症 DORV)と肺疾患(先天性嚢胞状腺腫様肺奇形 CCAM)を併せ持って生まれてきましたが、お腹の中にいる時から病気が判明していました。医師から「生きては生まれて来られないかもしれない。生まれてきてもお腹の外では生きられないかもしれない。」と告げられて、お腹の中の赤ちゃんに今できることは何だろうと考え思いついたのが絵本の読み聞かせでした。

当時、私の故郷の愛媛の本屋さんの支店が東京にも1軒あり、それが偶然わが家のすぐ近くにありました。今はもう閉店してしまいましたが、そこへ行くと内装やお店の雰囲気が地元で通っていたお店と同じで、まるで地元に戻ったような気分が味わえました。

その本屋さんで自然と自分が子供の頃に縁のあったお話の絵本に手が伸びました。お腹の中にいた長女に初めて読み聞かせた絵本は「てぶくろを買いに」でした。寒くなると今でも読んであげたくなる1冊です。

いま思うとお腹の中にいる胎児にはとても難しい絵本でした。実は私が小学2年生の子供だった頃に学芸会でお母さん役をしたお話です。その時にお母さんの気持ちになって一生懸命演じた記憶がありますが、それよりも母のぬくもりを感じた思い出がありました。衣装は各自の保護者が先生から指示されて用意したのですが、私の母はきつねのしっぽをファー生地で上手に作ってくれました。それが先生にも友達にも好評で、私のしっぽを真似して作り直してもらったお友達もいました。自分自身が母の愛情を感じたお話だったので、本屋さんで絵本を見つけた時にお腹の中の赤ちゃんに読んであげたくなりました。

しかし実際には「てぶくろを買いに」をお腹の中に聞こえるように声に出して読むと涙が止まらなくなりました。何度読んでも涙が出てくるので、お腹の中にいた長女に読み聞かせる本としては向いていませんでした。

結局、読み聞かせ用にいくつかのお話が集録されたものを2冊「日本昔話」と「グリム童話」を購入し、さらにお腹の中の赤ちゃんに話しかけてあげましょうというお腹にお椀型のスピーカーを当てて話かけられるアイテムを使って読み聞かせをしました。思い返すとその光景は笑えますが、当時の私はいたって真剣でした。

それから長女が生まれ、お腹の外の世界で大変な手術や治療を乗り越える間も絵本はいつもそばにありました。声に出して読んで聞かせるというのは読み手も聞き手も座っていても横になっていても楽しめるので歌や音楽と同じような魅力を感じます。

小学校では音読の宿題がずっと続いていて、長女は声に出して読むことが好きなようです。なかなか妹達が姉の読む声に耳を傾けてくれませんが、とても上手に読みます。そこで長女には近い将来どこかで読み聞かせの読み手を経験させてみたいなぁと密かに考えています。聞いてくれる人が楽しんでくれると自分もとても嬉しくなります。誰かの役に立つ喜びみたいなものを長女に味わって欲しいです。勉強も苦手で体力もないのですが、将来の夢を描く上での大事なヒントはそういうところにあるような気がしています。

今日も読んでいただきありがとうございました。