再びの胎児診断:両大血管右室起始症(DORV)と判明

手芸が趣味の三姉妹の母Imoanです。

今日はお腹の赤ちゃんの二つ目の病気が見つかった頃のことを振り返ってみます。

妊娠8ヶ月になり羊水過多で入院した途端に、私の体そのものは少しずつ楽になっていきました。妊娠7ヶ月の入院時に打ってもらったステロイドの効果が現れてきたようでした。お腹の中の赤ちゃんの体のむくみが徐々に消え、私の羊水も減っていきました。本当はお腹に針を刺して羊水を抜いてもらう予定で入院したのでしたが、その必要がなくなりました。肺に出来ていた嚢胞状の腫瘍は、超音波検査によるとあるのかないのかわからないような状態に変化していました。

すると肺の病気が判明した時に腫瘍に圧迫されて右に寄っていた心臓が超音波検査でよく見えるようになり、今度は心臓にも異常があることがわかってしまいました。実は先天性嚢胞状腺腫様肺奇形(CCAM)が判明した時には合併症がほとんどない病気なのだと医師から聞いていました。それなのにどういうわけか、わが子には心臓の異常もあったのです。

心臓は肺よりも先にとても早い時期に形成されるもので、肺の病気とは関連がないだろうと言われています。そしてこの二つの病気を併せ持っている例は娘以外に世界に一例もないそうです。なぜうちの子だけにこんなことが起こったのか…、原因はわかりません。妊娠前もその後も喫煙をしたことはありません。アルコールも妊娠前から飲みすぎることはなく、妊娠中は一切飲んでいませんでした。

心臓の病気は両大血管右室起始症(DORV)といって、大動脈と肺動脈に流れる血液が両方とも右室から流れる病気、心臓の奇形でした。普通は大動脈は左室から、肺動脈は右室から流れ、肺で酸素を含んだ血液が体中を流れていきますが、娘の心臓では酸素を含んだ血液と全身を流れて汚くなった血液が常に混ざってしまい、血中の酸素濃度が低くなってしまいます。心臓のカテーテル治療や手術を何度か受けた現在、娘の血中の酸素濃度は80%前後です。健康な人はほぼ100%です。

同じ病名の心臓病でもその心臓の形はそれぞれで、健康な人の心臓と同じ形にする手術が受けられる人もいれば、それが難しい場合もあります。娘の場合は血管の位置が悪かったり、左室が小さかったりして、修正手術が難しい形でした。

もし生まれてきて何とか肺の病気を克服できたとしても、今度は心臓の病気で生きていくことができないかもしれない。生まれてきたら、肺の手術、心臓の何らかの手術が必要になると告げられました。また症例が珍しいので、もしかしたらまだ他にも色々な病気、障害があるかもしれないと疑われました。

そしてまた決断しなければならないこともありました。もしも早産になった場合に、帝王切開にするか普通分娩にするかこの時期に選んでサインをしなければなりませんでした。この生まれてくる赤ちゃんには助かる可能性が極めて低いので母体を優先させるためには帝王切開ではなく普通分娩を・・・ということだったのです。

主人は肺の病気がわかった時に妊娠を続けると夫婦で決めた時とは赤ちゃんの状況や診断が変わり、張りつめていた何かが途切れてしまい、妊娠を今すぐ止めさせたいと言い出しました。母体保護法でそれは不可能なことなのですが、そうして欲しいと思ったそうです。次から次へと絶望的な話をしてくる主治医に対しても信頼できなくなっていました。

その頃、主治医とは別にもう一人ハイリスク妊婦外来の医師がいて、たまたま主治医の代診で診てもらったことがありました。その際にとても励まされる言葉をかけてくださり、そのことを親身になって私の話を聞いてくれていた看護師さんに話すと、主治医をその先生に変更してくれました。そこから私のハイリスク妊婦生活はとても前向きなものに変わっていきました。

病は気からと言いますが、妊婦生活も絶望的な気持ちで送るのと前向きな気持ちで送るのとでは全く違う結果を生むのかもしれません。次のブログでは新しい主治医との出会いで主人と私の気持ちがどのように変化していったのかを書いていければと思います。

読んでいただきありがとうございました。